2017年9月4日月曜日

希望に溢れる子供の育て方

こんにちは。メンタルコーチの伴です!


9月1日は1年で最も未成年の自殺数が多い日なのだそうです。夏休み明けの学校初日、いじめられたりしている子は学校に戻りたくないと考えるのでしょう。


ニュースで知り、とても悲しい気持ちになりました。少し経ってしまいましたが、そんな子供たちを救える方法について考えてみようと思いました。


子供たちが自殺に至るまでの思考プロセスに思いを巡らせてみると、置かれた状況を抜け出す希望が見いだせなかったのではないかと胸が痛みます。


友達と仲良くしたい。当たり前の感情であり、多くの子供が望んでいることでしょう。


その望む結果に反し、いじめという現実を突きつけられる。


「どうやったら、この状況を抜け出し、仲良くなれるのか。」


色々考えてみても、なかなか方法を見い出せない。乗り越えられる自信も持てない。


そして、自分の未来に絶望してしまい、自殺という行動に追い込まれて行ってしまうということなのではないでしょうか。


子供に対し自分の力で希望を見い出せというのは酷な話なので、周りのサポートがとっても重要です。親として、指導者として、メンタルトレーナーとしてどのように“希望に満ち溢れる脳を育むか”という長期的な視点をテーマにします。


学術的には希望とは、下記2つの和であると定義づけられています(Rand & Cheavens, 2009; Snyder, 2000)。

(1)望ましい結果のために、困難を乗り越える道筋を立てられる力
(2)その道筋を実行するやる気またはやり抜く力


希望は困難に直面した時こそ力を発揮します。


高いレベルで希望を持っている人は、失敗よりも成功について考えることがわかっています(Snyder, 2000)。効果的な達成方法を見い出し、かつ、自信を高く保つことできるため、目標達成する可能性が高まるわけです。


友達からいじめを受けるという困難に直面した時に、絶望に打ちひしがれるのではなく、この状況をどう好転させられるかを考えられる脳を育てることで、最悪の結果(=自殺)を抑止するというアイディアです。


では、どのようにすればこの“希望”を育むことができるのでしょうか。


その答えは、上述の希望に関する定義にあります。

(1)望ましい結果のために、困難を乗り越える道筋を立てられる力
(2)その道筋を実行するやる気またはやり抜く力


日常の例を使って、一つずつ考えていきましょう。

(1)望ましい結果のために、困難を乗り越える道筋を立てられる力


例えば、次の運動会の徒競走で一番になりたいA君がいるとします。同じ組には現時点で自分より足の速い子がいるそうです。


望む結果=徒競走で1番になる
困難=同じ組に自分より足の速い子がいる


結果達成の方法として、「正しいフォームを学び、それを身に付けることで、自身の走力を上げること」が挙げられるでしょう。


本人が思いつくようであれば素晴らしいですね。もしその方法を思い浮かばない場合には、周りの大人がリソースとなり、有効な方法を設定する手助けをしてあげることが重要です。


さらに、この方法で行くと決めた場合、正しいフォームに関する情報も必要ですね。ネットで調べるもよし、図書館に連れていくもよし、専門家に依頼するもよし、そういうリソースを提供してあげるサポートをしてあげましょう。


こういう日々の経験を通して、望む結果をどのように達成するかという問題解決への道筋を立てられる力を高めてあげることが希望に溢れる脳を作るポイントです。


Snyder氏(2000)の研究では、たくさんの困難を経験している人ほど、高いレベルの希望を抱きやすいということが明らかになっています。


可愛い子には旅をさせよ。我が子が可愛いなら世の中の辛さや苦しみを経験させたほうが良いという意味のことわざですが、科学的に証明されているんですね。


ただ突き放すのではなく、必要に応じて親や指導者がリソースになってサポートしてあげてください(^^)


(2)立てた道筋を実行するやる気とやり抜く力

やり抜く力とはいわば自信です。


先ほどの例を使うと、正しいフォームを身に付ければ足の速い子に勝てるんだと、自分の能力を信じられるかどうかです。


自信は、過去の経験に対する本人の捉え方の積み重なりで作られるセルフイメージです。ですから、日ごろから自身の良かったことに目を向ける思考の癖を作ることが自信を高めるうえで大きな役割を果たします。


ある体験の結果の原因を何に求めるのかを理論化した帰属理論というものがあります(Heider, 1958; Weiner et al, 1971)。


楽観的な人と悲観的な人では、下記のような差があると言われています(Seligman, 1991)。




説明します。

楽観的な人は、うまくいったときに「これは自分の○○が良かったんだな」と内的要因に原因を結びつけます。逆にうまくいかなかったときは、運がなかったなど外的な要因に結びつけます。


かたや、悲観的な人はその逆です。うまくいったときには、「今回はたまたま調子が良かった」などと外的な要因に結びつけ、うまくいかなかったときには、「私の○○が良くなかったんだ」と内的な要因に結びつけるのです。


ギクッとした方多いかもしれません。


日本は悲観的と呼ばれる脳を持つ人が世界で一番多いという統計があります。


悲観的なことが悪いわけではありません。うまくいかなかった原因をそのままにしない日本人の素晴らしい性格がものづくりのレベルを高めていることは間違いありません。


ですが、自信の観点から見ると、悲観的な思考は自信を積み上げにくい、ということなんです。


でも、ご安心ください。


この楽観主義は獲得できるスキルだと証明されています(Seligman, 1991)。親御さん、指導者の方は、子供の自信を高めるためには、成功した体験の後には、内的な部分(努力、能力、思考など)で何が良かったのかを考える機会を与えてあげるようにしてください。



その積み重ねが、自分の強みを認識する手助けになり、いずれ思考の癖になってきます。


その思考の癖により、自信が高められ、困難にぶつかったときにやり抜く力としてお子さんをサポートします。


一昨日のこと、たまたまですが、大手メーカーに勤める友人が研修で、ビジネスパーソンとして成功する2つの能力として、問題解決能力前向きさであると習ったと聞きました。


まさに“希望”じゃないか~と思いました。


自殺を防止するというテーマで考えていたことが、企業が必要としている人材にもつながってくるんだなと、今これ書いていてワクワクしてます(笑)


数字だけ見ると人口減少で将来への不安が募ってしまいますが、一人一人の質的には何やら“希望に満ちた若者が多いジャパン”になってほしいなと思いますし、そうなれるようなサポートをこのメンタルコーチという仕事を通じて行っていきたいと思います。


話はそれましたが、希望にあふれる子供は育てられる、そして、そのためには周りのサポートが必要!というお話でした。


それでは~
バンヒロ

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