全米オープン優勝の快挙に続き、全豪オープン優勝&アジア勢初の世界ランク1位。
テニス界、スポーツ界のみならず、日本全体に勇気と感動を与えてくれました!
試合を見ていた人は、2セット目をクビトバ選手が取った時に、嫌な流れを感じた人は多かったと思います。
私もライブで観ていましたが、大坂選手が3つのチャンピオンシップポイントを逃し、セットを取られた時は、まずい…と思いました。
テニス界、スポーツ界のみならず、日本全体に勇気と感動を与えてくれました!
試合を見ていた人は、2セット目をクビトバ選手が取った時に、嫌な流れを感じた人は多かったと思います。
私もライブで観ていましたが、大坂選手が3つのチャンピオンシップポイントを逃し、セットを取られた時は、まずい…と思いました。
しかし、タオルで顔を覆いながら、トイレブレークで室内に入った後、自分らしさを取り戻し、素晴らしいプレーで優勝を果たしました。
そこで気になったのは、
ブレーク中にどんなことを行い、あの状態から気持ちを整えたのか?
でした。
ということで、今回は大坂選手のインタビュー回答から、フラストレーションを対処するメンタルスキルに迫っていきたいと思います。
大阪選手の思考プロセスを紐解く
プレスカンファレンス(試合後の記者会見)でとある記者が、
「2セット目取られた後、どのように気持ちを落ち着けて、パフォーマンスを発揮したのか?」と聞いてくれました。ナイス質問!
大坂選手の回答は下記でした。
“I just thought to myself that this is my second time playing
in the final. I can’t really act entitled to be playing against one of the best
players in the world and to lose a set, and suddenly think that I’m so much
better than her isn’t a possibility. I wanted to enjoy my time here. Last year,
I lost in the fourth round and now this year was in the final so I wanted to be
happy about that.”
「私にとっては、これが(グランドスラムでの)決勝は2回目。決勝で世界のトップ選手と戦うことが当たり前のように振る舞ってはいけないし、セットを失うことだってあると思った。そして、私が彼女より断然うまいなんてことはありえないと考えた。だから、この場を楽しもうと思った。去年は4回戦で負けてしまったが、今年は決勝まで来た。だから、その事実を幸せに感じたいと思った。」
この思考のプロセスにより、
(1)チャンピオンシップポイントを逃したり、セットを取られたイライラをコントロールし、
(2)置かれた状況への感謝や挑戦を楽しもうという感情を作り出すことができました。
リフレーミングと言われるメンタルスキル
(1)から解説していきたいと思います。
フラストレーションとは、平たく言えば、期待と現状の差から生まれます。
2セット目取れるはず(期待)だったのに、ポイントを逃し、逆にセットを取られてしまった(現状)。
期待通りに進まなかったことで、イライラという感情が出ていたわけです。
上述の記者への回答から、大坂選手はその期待が本当に正しかったのかと?と自分の思考にチャレンジしたことが伺えますよね。
世界トップの選手と戦っているわけで、自分が彼女より実力的に断然上で、2セット連取で勝つことを期待すること自体が正しくないのではないか?
「私が彼女より断然うまいなんてことはありえないと考えた。」というこの新しい考え方が、過度な期待を下げ、セットを奪われた現状を受け入れることに繋がったと考えられます。
つまり、フラストレーションを見事にコントロールしたのです。
フラストレーションという感情を生んでいる自分の思考に気づき、それが本当に正しいのかを検討し、望ましい思考に変化させたのですね。
この思考プロセスを、心理学用語では、リフレーミングと言います。
これを決勝の舞台で、しかも、あの短時間で冷静におこなったのですね。素晴らしいの一言!
捉え方が感情を生み出す
さらにもう一つの心理スキルも。(2)について解説します。
「この場を楽しもうと思った。去年は4回戦で負けてしまったが、今年は決勝まで来た。だから、その事実を幸せに感じたいと思った。」
この言葉からも、今置かれた状況を前向きに捉えようという大坂選手の意識が伺えますよね。
感情は、目の前の状況そのものがつくっているのではなく、捉え方に沿って生まれます(下の図の通り)。
逆に言えば、捉え方を意図的に変化させることで、出てくる感情を調整することができます。
昨年から大坂選手は「楽しむ」という言葉を多用しています。
勝ち負けがどうでも良いという意味ではなく、自分のテニスを存分に発揮するために、その場を楽しみたいのだと思います。
急がば回れ、みたいな見解をパラドックス(逆説)というのですが。
スポーツ心理学で確認されている最も有名なパラドックスが、「勝ちたければ、勝ちを意識するな」です。
美空ひばりさんの“柔”という歌の歌いだしで、「勝つと思うな 思えば負けよ」という歌詞もありますが(笑)
勝ち負けに囚われるほどに、失敗に対する恐れが増長し、身体が硬直するなどしてしまう。
大坂なおみ選手の楽しむ姿勢は、ハイパフォーマンスを引き出すうえで、理にかなっていると言えます。
メンタルタフネス
プレッシャー環境下で、自分のやるべきことに意識を没頭させる能力を“メンタルタフネス”と呼びます。
全豪の決勝、嫌な流れで追いつかれての1セットオール。勝ちを意識するなというほうが難しい状況です。
大阪なおみ選手は、過度な期待を下げること、そして、自分が置かれている状況のポジティブな側面に意識を向けることで、自分がやるべきことに見事に意識を没頭させることに成功させました。
上述のような画面に映らないメンタルスキルに加えて、
ミスの後、相手に背を向け、気持ちを切り替える姿や、リターン前にセルフトーク(自分への声掛け)と同時に軽いガッツポーズを作るといったメンタルスキルを多用していることが伺えます。
技術や体力同様に、心理もトレーニングすることによって、向上させられるものです。
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それでは!
ばん