2018年2月26日月曜日

あなたの“成功”に対する考え方が周りの人の行動を変える

こんにちは。メンタルコーチの伴です。


平昌オリンピックが閉幕しましたね。日々の楽しみが一つ減ります



いやぁ~しかし、全ての日本選手が素晴らしい活躍を見せてくれました。



メダルを獲得された選手たちが称賛されるのはもちろんですが、メダルに届かなかったもののオリンピックという大舞台で自己ベストを出した選手、出すために全力を尽くした選手たちにも惜しみない称賛が与えられてほしいなと願います。



称賛。評価。



実はここに実力発揮の環境づくりのポイントが秘められています。



評価とは、「その行動は望ましいのでを続けてほしいんですよ」というメッセージであり、その裏には、評価する側の成功に対する考え方が潜んでおります。



評価には、結果にするものとプロセス(行動)にするものがありますよね。



結果で評価するというのは、結果を得ることこそが成功という考えの表れであり、「あなたは望ましい結果を出したので、素晴らしいです」という風に捉えられます。



結果はわかりやすく、かつ公平に評価するために持ってこいの指標であります。



ただ、結果だけで評価される環境で育つまたは身を置くと、成功=良い結果を出すこと(スポーツで言えば勝利、ビジネスで言えば利益、学業で言えばテストの点数)という考えが身に付きやすくなります。



人には、人に影響を与えたい、人の役に立ちたい(関係性)という基本的な心理ニーズが備わっており、自分自身で確固たる評価軸がない限りは、置かれた環境の評価基準は大きな関心事であるからです(Deci & Ryan, 1985, 1991, 2000)



しかしながら、結果というのは、個人(やチーム)が完全にコントロール出来るものではありません。



大会で勝てる見込みが限りなく100%に近いアスリートがいたとしても、100%の確証を持つことはできません。


有能なビジネスパーソンでも、思い通りの利益を上げることはできませんし、どれだけ優秀な学生でも、受験の前に100%合格できる確証を持つことはできません。



結果で評価するというのは、この“不確定さ”にも責任を負わせるということです。



目標としている結果が明確で現実的あれば、そのような評価制度でも、短期的には意欲は上げられます。


しかし、その目標が困難であったり、期待が大きくなればなるほど、失敗に対する恐れが高まり、そのタスク(スポーツ、仕事、勉強など)に対する意欲は下がり始めます。


この図☟で言えば、左に移動します(右に行けば行くほど意欲が高まる)。


実力発揮の基本として、“結果はプロセス(行動)の副産物”というものがあります。



完全にコントロールできるのは自分の行動のみであり、結果を望むならそれに相応しい行動を起こすべしという考え方です。



実力が発揮されやすい状態とは、やるべきこと(プロセス)に意識が投下されている状態であり、努力や成長を評価されるシステムこそが、個人がプロセスに集中できる環境づくりに重要な役割を果たします。



アスリート、社員、子供に望ましい結果への行動意欲を高めてほしいのであれば、評価する側が下記の考え方の持つことが必要です。



1.結果は重要な目標であるが、最も重要な目的ではない。


2.勝ち負け(ビジネスで言えば契約受注逸注、勉学で言えば受験合格不合格んど)は結果によって決まるが、成功失敗は結果によって決まるものではない。


3.成功とは、目標に向かって行った努力やそれによる進歩である。結果が伴わなかったとしても、目標に向かって全力を尽くしたのであれば、決して失敗ではない。


4.負け=失敗ではない。負けること(受注を逃す、受験不合格など)が、失敗であったり、人間として価値がないことの証明ではない。


この考え方に基づく評価がなされる環境が、この環境下にいる個人の失敗に対する恐れを下げ、タスクに対する意欲やパフォーマンスの質を高めることが研究で明らかになっています(Smith, Smoll & Passer, 2002)



つまり、指導者、リーダー、親御さんなどの成功に対する考え方が、アスリート、同僚、子供の実力発揮や努力量に大きく影響しているのです。



ちなみに、アメリカでは、30年を超す長年の研究を基に作られたCoach Effectiveness Training(CET)という組織的なナショナルアスリート育成プログラムがあるのですが、このプログラムの基礎となったのが、上述の考え方であります。



私も講習をさせていただくときには、この考え方を取り入れています。



例えば、中学生や高校生に対して講習を行う際は、必ず講習の冒頭に、発言をすること自体がクラスへの大きな貢献であること、正解不正解は大きな問題ではないこと、そして、授業の最後に最も授業に貢献してくれた人3名を表彰すること(発言してくれるたびにチョコをあげ、授業の最後にチョコを一番多くもらった人が授業に最も貢献した人)を、伝えるようにしています。



また発言してくれた時に、その行動を後悔させないような雰囲気づくりを忘れないことも重要です。



素直な中・高校生の爆発力はすごくてですね(笑)失敗に対する恐れをなくしてあげると、ものすごい数を発言してくれるようになります。先日の3時間の講習では、60個のチョコレートがなくなるほどでした。



結果を求めることだけではなく、彼らが唯一コントロールできるもの=行動(努力)に対して、しっかり評価してあげる評価制度づくりが重要なんですね。



このアプローチは未成年だけではなく、大人にも有効であることがわかっています。気を付けなくてはいけないのは、大人相手に初歩的なことで褒めたりするとやぶ蛇になりますので、評価する内容、褒め方には気を付けなくてはなりませんけどね(Smith & Johnson, 1990)



この理論で言えば、オリンピック後の今、メダリストばかりを称賛するのではなく、自己ベストを出した選手や結果に関係なくオリンピック出場まで上り詰め、大舞台で結果に向かって最善を尽くした努力にも平等に注目が集まれば、もう少し日本人選手たちが結果ではなく結果へのプロセスに意識が向けられるようになるはずです。



まぁ理想論ですが。。。微力ながら、日本人アスリートの実力発揮ができる環境づくりに貢献する投稿をしてみました


以上、周りの成功に対する考え方(=評価)が、その人の努力量に大きく影響するというお話でした。


なお、


次回セミナーは、“大舞台で結果を出す人出さない人のメンタルスキル”を予定しています。


3月18日(日)10-12時@京急蒲田。


ご興味ある方下記までメールください。


ban.seminar@gmail.com



最後まで読んでいただき、ありがとうございました!(^^)!


それでは~
バン

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