前回のブログでは、子どもの運動能力向上には全身の調整能力を高める必要であり、それは多様な運動経験によって培われるという話をしました。
今回は 「子どもの運動能力の成長を促す5つのアクション」をサクッとご紹介します。
1.自発性を尊重する
好きこそものの上手なれ。これはどうやら本質に近いのかもしれません。
モチベーションのメカニズムについて100年以上研究が進められてきましたが、好きだからやるという内発的モチベーションに勝る意欲の源泉は発見されていません。
子どもが興味を示したことをとことんやらせてあげることが、運動機会を増やすことに繋がります。
6歳頃までに脳や脊髄などの神経系が急激に発達します(下図参照)。
この時期は、特に全身の調整力が飛躍的に向上させるチャンス。
この前、うちの子どもが変な踊りしてるんだけど、どうすべき?と聞かれましたが(笑)、
どんどん変な(=独創的な)踊りさせちゃってください。
2.同じ運動を続けない
子どもの意識は移ろいやすいですよね?まだ認知能力が発達の途中で、同じことにずっと集中していられません。
もし何か特定の運動をやっていた場合、10-15分で運動に変化を与える必要があります。
これ大人も同じで、例えばクリスティアーノ・ロナウドも10分おきにドリルを変えるそうです。
興味を保ち、集中力を持続させる術ですね。
3.遊具は多すぎても良くない
幼稚園の遊具の数と園児の運動能力の因果関係を調べた研究があります。
①22個以上
②17-21個
③16個以下
どのグループの幼稚園の園児が最も運動能力が高かったと思いますか?
正解は②でした。
多ければそれだけ、運動の多様性が増えそうですよね。
遊具が多すぎると使用用途通りの使い方しかされず、独創的な使い方をするまで発展していきにくいという点が指摘されています。
独創的に使うことで、そんな動きするか!という多様な運動が増える。それが、運動能力の発達に繋がることが報告がされています。
逆に遊具が少なくても、全ての遊具への興味が満たされてしまうと、遊びや運動機会の促進に繋がらないのです。
ご家庭に当てはめて考えれば、遊具の数を何個にするかにこだわるというよりは、子どもの好奇心を掻き立てるに充分な数を用意する、ただし、与えすぎないラインを探ることが大事なのでしょうね。
4.一緒に遊ぶ
保育士の運動参加の回数と子どもの運動能力の関係を調査した研究があります。
保育士が運動参加する回数が多いほど、子どもの運動能力が高いという結果がでました。
子ども、特に幼児期(1-6歳)の子は、親や保育士など心を許した大人と一緒に遊ぶことが大好きです。
大人が一緒になって遊ぶと喜んで遊ぶ。それが、運動能力向上にもつながるのですね。
また、難しい運動ほど、一緒に挑戦することが大事です。
出来ないと感じたことでも、大人が楽しげにやっている姿を見せることで、チャレンジする意欲になります。
5.結果ではなくアクションを褒めてあげる
子どもは褒められることで、その褒められたことを再現しようとします。
挑戦したことを褒められれば、さらに挑戦しようとします。
気を付けなくてはならないのは、頭の良さや能力を褒められると、もっと褒められようと、能力の高さを示せることをやろうとします。
つまり、難しいことに挑戦しなくなります。
勉強に関する研究ですが、Growth mindsetで有名なDweck博士の小学校5年生を対象にした研究を紹介します。
最初に全ての生徒に、難易度中の問題を解いてもらいました。その後、全ての生徒たちを下記の3つのグループに分けて、それぞれのフィードバックを与えました。
①能力の高さを褒める 例:この高得点を取るということは、君はとっても頭いいね!
②結果への驚きを伝える 例:これは高得点だね!
③努力を褒める 例:この高得点を取るということは、とても努力したんだね!
その後、誰も高得点を取れないような難しい問題を解いてもらったあとに、最後にまた難易度中の問題を解いてもらい、その得点を計測しました。
最も高得点を出したのは、③でした。2番目の②に比べ30%の差でした。
逆に最も低い点数だったのが、①でした。②に比べ30%も低い結果です。
子どもたちに何が起こったのでしょうか。
①グループの子は、③の子に比べ、褒められた後に、次のテストへの点数への期待感が高くなったはずです。
しかし、次にやったテストは非常に難しく、③の子よりも落胆したことが推測されます。
それにより、問題を解くというタスクへの意欲が薄れ、初回の問題と同レベルの難易度だったにも関わらず、パフォーマンスが下がった子が多かったと整理されています。
この影響をアンダーマイニング効果と呼びます。
好きでやっていたことでも、結果を褒め続けられることで、褒められることが目的になり、褒められないとわかった時点で、その行動をやめてしまいます。
運動への意欲を奪わないために、結果ではなく、その行動や努力を褒めてあげることをお勧めします。
5つのアクションを書いてきました。科学というのは、これが最も多くの人に当てはまるよね、という根拠に基づいた指針です。
全ての人に当てはまるということではありませんが、直感、経験論よりも多くの人に当てはまる可能性が高いという代物です。
ご参考になれば。
ちなみに、
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それでは~
ばん
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