こんにちは。メンタルコーチの伴です!
今回は、前々回に書いた「松山選手のコメントから考えるゴルフにおけるメンタルタフネス」の続きです。
その投稿では勝てるゴルファーとして下記4つが特に必要な心理的資産だというお話をしました。
(1)気が散る要因がたくさんある中で、自身のタスクに意識を集中させるスキル
(2)自信を高め維持するスキル、特にミスショットの後にも自分の能力を信じるスキル
(3)ベストパフォーマンスを発揮しやすい“気持ちの高まり”をコントロールするスキル
(4)物事を前向きに捉えることが出来る視点を持つ
では、どのようなこれらのメンタルスキルを獲得するのか、というのが今回のこの投稿のテーマです☆
とその前に、大事なポイント!
メンタルトレーニングでは、このトレーニング方法が全ての人に効果的!というものはありません。ここで紹介するのは、その効果が研究で実証されているもののみですが、それは多くの人に効果があったという話で、全ての人に効くというわけではありません。
ですから、どれがクライアントに効くのかを使ってみて、これ効果あるな、これ違うなという風にトライ&エラーを繰り返しながらメントレのプログラムをテイラーメイドで作っていくのです。
さて、本題に戻ります(^^)/
メントレ案:
(1)自身のタスクに意識を集中させるスキル
"Let go of the past(過去を手放す)"という考え方を知る
ゴルフの特徴は、18ホールをプレーするということです。各ホールが新たなミニゲームなのです。前のホールでミスがたくさん出てダブルボギー(ホールに入れるまで平均より2打多く打ってしまうこと)であったとしても、次のホールはまた一から他の競技者と一緒に打ち始めます(当然スコアには関係してきますが)。
となると、前のプレーを引きずる意味はなく、出来ることと言えば、常に新たな気持ちでそこからのベストを目指すことです。
冷静な状況で言われれば当たり前なのですが、スコアに囚われていると、色々と計算してしまったり、あそこでミスが出なければという考えが浮かんできます。
"Let go of the past(過去を手放す)"という考え方を知る
ゴルフの特徴は、18ホールをプレーするということです。各ホールが新たなミニゲームなのです。前のホールでミスがたくさん出てダブルボギー(ホールに入れるまで平均より2打多く打ってしまうこと)であったとしても、次のホールはまた一から他の競技者と一緒に打ち始めます(当然スコアには関係してきますが)。
となると、前のプレーを引きずる意味はなく、出来ることと言えば、常に新たな気持ちでそこからのベストを目指すことです。
冷静な状況で言われれば当たり前なのですが、スコアに囚われていると、色々と計算してしまったり、あそこでミスが出なければという考えが浮かんできます。
その考えを手放すことが重要。それがLet
go of the past(過去を手放す)ということです。
Cohn氏(1991)が研究でゾーン(ベストパフォーマンスが出せている状態)にいるときの状況を多くのトップゴルファーからアンケートを取りました。彼らが共通して答えたのはは、「余計なことを考えていなくて、自分のタスク・パフォーマンスに没頭している状態」、「ミスショットを打つ不安など一切考えていなかった」でした。
まずはこの事実を知っておくことです。
セルフトーク(キューワード)
そして、実際に必要なものに意識を向けるテクニックとして、キューワード(Cue word)を紹介します。
何に集中し、何に意識を向けないようにするかという選択が常に求められる状況下で、短い合言葉を持っておくことはとても有効です。
"今に集中"
"このショットが今からのゲームの始まり"
などの短い言葉を持つことで、過去から“今”に意識を向けることができます。
Owen氏 & Bunker氏(1992)の研究ではLDT guidelineというスキルが提唱されました。
Lie(ボールが止まっている場所、芝の状態)
Lie(ボールが止まっている場所、芝の状態)
Distance(ピンまでの距離)
Trajectory(打つボールの軌道)
の頭文字を取って、LDTです。
LTDとつぶやくことで、集中すべきことをリマインドしてあげる。
ゴルフ経験者ならこれらを確認するのは当たり前と思うかもしれません。試合中のカオスの状態では、冷静に考えればいいことがわからなくなることがあります。このようなシンプルな言葉で確認すべきことをリマインドすることで、状況判断力の向上、パフォーマンスに対する不安をコントロールできるメリットをもたらします(Owen & Bunker, 1992)。
ゴルフ経験者ならこれらを確認するのは当たり前と思うかもしれません。試合中のカオスの状態では、冷静に考えればいいことがわからなくなることがあります。このようなシンプルな言葉で確認すべきことをリマインドすることで、状況判断力の向上、パフォーマンスに対する不安をコントロールできるメリットをもたらします(Owen & Bunker, 1992)。
(2)自信を高め維持するスキル、特にミスショットの後にも自分の能力を信じるスキル
自信とは、過去の経験を基に作られた自分の能力に対するセルフイメージです。
アメリカでは、Confidence is a choiceとよく言われています。
何に目を向けるのかはあなたの選択という意味です。
自信は確かに過去の経験から作られますが、経験を積めば積むほど勝手に高まっていくものではありません。あなたがそれをどう捉えたかによって自信が積み上げられるのか、そのままなのかが決まります(Dosil, 2006)。
ゴルフの例で考えてみましょう。何万本の素晴らしいショットを打ってきているゴルファーがいるとします。
前回のショットがミスしてしまったとしましょう。その時に
「あぁ、前回ミスしてしまった。今回のショットうまくいくかなぁ」
と捉えるか、
「前回ミスしたけど、何万本の素晴らしいショットを打ってきているんだ。淡々とタスクに集中するだけ」
と捉えるか、どっちが自信を高められると思いますか?
ポイントはどちらの思考も間違っていないということです。
どの状況においても、最もポジティブな現実に目を向けることが出来るかで違いを生みます。
自信は選択である、という意味がご理解いただけましたでしょうか。
こういう思考の癖をつけることが、自信に溢れた人間になる近道です。
イメージトレーニング
自信が高い人は、そのタスクが失敗かどうか、失敗したらどうなるかというネガティブな面よりも、それが成功する理由、成功した情景により時間を割いているということがわかっています(Dosil, 2006)。
ショットを打つ前に、理想のショットを打っている自分をイメージしてあげることで、自信が高まり、素晴らしいパフォーマンスが出る可能性を高めます(Nicklaus & Bowden, 1974;
Bandura, 1997)
そして、そのイメージの有効性を高めるには、五感を活用することです(Goss, Hall, Buchholz & Fishburne, 1986; Janelle, 1999)。
視覚(どんな景色か)
嗅覚(どんな匂いがするか)
聴覚(どのような音が聞こえているか)
触覚(クラブを握った感覚、体の力み具合など)
味覚(どんな味がするか)…これにおいてはゴルフには使えないかもしれませんが。
極力多くの感覚を交えてあげることで、脳が経験したことと錯覚し、自信に繋がります。
逆に失敗する情景を思い浮かべてしまうと、自信低下につながり、良いパフォーマンスが出る可能性が下がります。
(3)ベストパフォーマンスを発揮しやすい“気持ちの高まり”をコントロールするスキル
人はそれぞれパフォーマンスが出やすい自身の最適な緊張レベルというものがあります(Hanin,
1997, 2000)。下記イメージ参照。
2ステップ:
1.自身の最適な緊張度を知ること
2.緊張度を調整するスキルを見つけること
1.自身の最適な緊張度を知ること
最もよく使われている方法は、過去のベストパフォーマンスを振り返り、パフォーマンス前にどのような状況だったか克明に思い出してみることです(Hanin, 1999)。
また、緊張度をスケールにしてみることもわかりやすいでしょうね。0-10、0を寝ている状態、10を緊張度マックスとし、それを記録していくと、自信のパフォーマンスが出ている時の緊張度の傾向が出てきます。
2.緊張度を調整するスキルを見つけること
最適な緊張度がわかってくると次は最適な緊張度に持ってくるスキルが必要です。
下げることをサイクダウン、上げることをサイクアップなんて呼びます。
【サイクダウン例】
・深呼吸(Taylor & Wilson, 2002)
・動き回る(Taylor, 2001)
・リラックスできる情景を思い浮かべる(Taylor & Wilson, 2002)
【サイクアップ例】
・浅く呼吸を行う(Taylor & Wilson, 2002)
・アップテンポな音楽を聴く(Rider & Achterberg, 1989; Williams & Harris, 2001)
・優勝を決める最後のパッティングをイメージする(Zaichkowsky & Takenaka, 2001)
昔緊張したら、手のひらに人という字を三回書いて飲み込むなんて方法を教えられましたが、その方法が有効という研究は見当たりませんでした(笑)
(4)物事を前向きに捉えることが出来る視点を持つ
これは、(2)自信で述べたことと似ているかもしれません。
最もポジティブな現実を見つける思考の癖を身に付けるということです。
スリーステップ:
1.ストレスに気づく
2.ストレスの理由を明らかにする
3.最もポジティブな現実を見つける
例を挙げて考えましょう。
1.ストレスに気づく
「前の組が遅く、プレーを待たなくてはならないことにストレスを感じている。」
2.ストレスの理由を明らかにする
「待つ=自分のペースを崩されると考えているから、待つことにストレスを感じているんだな。」
3.最もポジティブな現実を見つける
「待つことによるポジティブな現実ってなんだろう。ポジティブなイメージトレーニングを出来る時間をもらったということだな。」
どちらの思考も現実ですが、ポジティブな側面に目を向けることにより、感情をコントロールできます。
ストレス=ネガティブと捉えられる方は多いかもしれませんが、そうではありません。ストレスをうまく向きあうことで、脳の機能を活性化(記憶力、集中力、情報処理能力アップ)させたり、ケガを早く回復させる、免疫力が高まるなどの効果が証明されています(Achor, 2013)。
メントレってこんなことやるんだ~と理解いただきたい一心で書いていたら、長くなってしまいました( ;∀;)
まぁ、簡単なイメージだけでも掴んでいただけると嬉しいです。
それでは~
バンヒロ