2017年8月17日木曜日

「勝てる人になりたい」松山選手のコメントから考えるゴルフにおけるメンタルタフネス

こんにちは。メンタルコーチの伴です!


先日の全米プロ選手権(メジャー大会)で松山選手が5Tになりましたね。


本人は悔しかったのでしょう。競技後のインタビューで涙、見ていて自分も涙してしまいました。


最終日一時トップに立ち、優勝が見えたからこそ悔しさが増したのでしょう。


メジャー大会5位で悔し涙を流せる位置(世界のトップ)に来ていることの証明だなぁ、すごいなぁと捉えましたが、素人意見なのでしょうか()


松山選手のインタビュー中で、「勝てる人になりたい。何をしたらいいかわからないけど、また一生懸命、練習したいなと思います」という言葉がありました。


それを聞いて、技術のことはわかりませんが、メンタル面において、「勝てるゴルファー」ってどんな心理的資産を持ているのだろうかと疑問が湧きました。今回のブログのテーマは、研究で明らかになっている「勝てるゴルファー」について、書いていきます。


 
まずは、ゴルフの簡単な特徴について。


(1)競技自体の難易度が高い。例えば、日本人男子プロの2017年シーズンのティーショットにおけるフェアウェイキープ率は、トップの選手でも70%ちょい(10回に3回は狙っているフェアウェイに乗らないわけです)


(2)18ホールを回るのに35時間程度(1日の競技時間)かかる。実際にスイングをしている時間はそのうち、2-3%程度と短い。従い、考える時間が多く、思考の整理、情報収集の制度といったメンタルコントロールがとても重要となってくる


(3)基本的には自身との戦いであるが、13名の競技者とグループを組んでプレーする。のプレーは当然目に入ってくる。また、ほかの競技者のプレースピード、観衆などたくさんの阻害要素の中でのプレーが求められる

(4)ルール、エチケットが複雑


ゴルフをやられたことのない方からすれば、止まったボールを固定されたホールに入れるシンプルなターゲットゲームのように思えるかもしれませんが、メンタルコントロールの観点で、心理的に最も難しいスポーツと言われています。


さらに、松山選手の置かれた立場から考えると、メジャー優勝を目指して、ゴルフをやられてきているでしょうし、「日本人初のメジャー制覇」と騒がれたり、結婚&お子さん誕生のメモリアルなタイミングということもあり、勝ちたい思いはそれはもう強かったんだろうと察します。


上述のような競技の特徴と大きなプレッシャーの中で、勝てる選手とはどういった心理的資産が必要なのでしょうか。


(モチベーション維持といった競技能力を高めるためのメンタルスキルと、大会などで持てる競技能力を発揮するためのメンタルスキルがあります。今回の投稿では、後者にフォーカスします。)


(1)気が散る要因がたくさんある中で、自身のタスクに意識を集中させるスキル


人の意識っていうのは、限られた資源なんですね。一つのことに集中すると、他の事に意識が向かなくなります。脳は同時に複数のことに意識を向けられません。観客の声、他の競技者のスコア、勝ちたいという想い、色々な要素が頭の中を駆け巡ります。その中で、意識を向けるに値するものを選択し、その他の要素をブロックするスキルが要求されます。

Zinsser氏ら (2001)の研究では、世界トップゴルファーはショットの直前から直後までに高い集中力を見せ、それ以外は必要な情報に意識を向けながらもリラックスした状態を作っていることがわかっています。


(2)自信を高め維持するスキル、特にミスショットの後にも自分の能力を信じるスキル

上述のように、難易度の高い競技ですから、自信を持って、ショットに取り組めるかが、パフォーマンスを左右します。良いショットが打てると、自信が上がるのは確かですが、いつも自身のメントレ指導でお伝えするのは、ショットがうまくいったかどうかに左右されるのではなく、まず自分から自信を高め、維持することで、良いショットが出る可能性を高めてほしいということです。特にミスショットを打つと、次うまくいくか不安になりますが、それまで何万本のナイスショットを打ってきている方が、最後の一本のショットのミスにネガティブ影響を受けるのはナンセンス、積極的に正当な自信を纏うスキルが重要です。

ゴルフではないですが、テニスに特化した研究を見つけました。Loehr氏(1984)が数百人のアスリートにインタビューをした結果、自信の高さが実力発揮に多大に影響しているという結果を導き出しました。これ以外にも、自信は成功における要素であることはたくさんの研究がサポートしています。


(3)ベストパフォーマンスを発揮しやすい“気持ちの高まり”をコントロールするスキル

前回のアイアンマンにおけるメンタルタフネスについての投稿でも書きましたが、人それぞれのパフォーマンスが発揮されやすい気持ちの高まり(インテンシティ)があります。ゴルフのような繊細なタッチを要求される競技では、一般的に引くレベルの気持ちの高まり(俗にいう冷静さ)が要求されます。冷静さを保つスキルが重要になってきます。


4)物事を前向きに捉えることが出来る視点を持つ

例えば、前の組が遅くて、少し待ちの時間ができた時に、早くしろとイライラするのか、ショットのイメージトレーニングができる時間をもらえたと捉えるのか、色々な視点があります。同じ状況でも、捉え方によって全然違う感情が出てきますよね。

トップゴルファーは他のゴルファーより、プレー中にネガティブな感情が少ないことがThomas & Over氏(1994)の研究でわかっています。後者で捉えられる脳の使い方したいですね☆


とまぁ、思いつくメインのメンタルスキルを上げるとこういうものでしょうか。


あえてスキルという言葉を使いました。なぜなら、先天的もしくは育った環境や経験でナチュラルにできる方もいますが、これらは知識を得る、またはトレーニングすることですべての方が獲得できるものだからです!


 
では、どのようにトレーニングすればいいのか?これは次回の投稿で書いていきます(^^)



それでは~
バンヒロ

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